上質な存在感の天然大理石と格子の引き戸が印象的なキッチン

2023年施工 B邸

ホテルライクなテイストが理想だったご夫妻。
海を望むマンションを
フルリノベーションして完成させたのは、
機能的でいて家具のように
部屋になじむキッチンのある空間です。
夫であるHさん、妻のJさんに、
その使い心地をお話ししていただきました。

横からみたキッチン スッキリとした水回り

どのようなコンセプトでリノベーションをされましたか?

Hさん:

夫婦で共通して望んだのは、生活感を感じさせないホテルライクなデザインです。僕はシンプルかつ無機質な雰囲気が好みで、海外の建築デザインなどを見て参考にしていました。妻は僕よりもクラス感があって、もう少しゴージャスなイメージを描いていたと思います。

Jさん:

ホテルライクという点で意見が一致していたので、ふたりがいいなと思えるデザインをピックアップして建築家に相談しました。その後、建築家からプロノさんを紹介していただき、キッチン作りがスタートしました。

ホテルライクなデザインの換気扇とIH
固定されている天板の様子

重い天板が万が一落ちないように、見えないところで金物でしっかり固定している。

キッチン作りで「これだけはかなえたい」とオーダーしたことは?

Jさん:

天然大理石の天板です。以前から愛用しているダイニングテーブルも天然大理石の天板でしたので、キッチンも大理石に統一できればと考えていました。

Hさん:

当初、カットされたままの自然な層が天板に残してあるような大理石を希望していました。天板部分にもくぼみがある、ちょっと野性的なタイプですね。プロノさんは、そのような大理石は小さな子どもがいる家庭では安全面でリスクがあり、くぼみに汚れが溜まりやすいことを説明しながらも、私たちの意見を受け止めてくれて。石の専門店の方と試行錯誤してくれたのが嬉しかったですね。

Jさん:

プロノさんがいろいろと試してくれたから私たちも大理石についての理解が深まりました。その後、デザインの良さと安全性を両立させたイタリアの天然大理石を提案してくれて、そちらに決定しました。一見、分厚い大理石をそのまま乗せているように見えるのですが、天板も側面も薄く切った石を取り付けています。

イタリアの天然大理石 イタリアの天然大理石の天板

天然大理石の天板の使い心地はいかがですか?

Jさん:

天然大理石は炭酸カルシウムが主成分とのことで、酸に弱く、レモンやポン酢、ワイン、オレンジジュースなどがついたまま放置するとシミが発生します。ですから我が家ではキッチンを使うたびに毎回水分を拭いていますね。お引越し以来、眠りにつく前に天板を拭き上げるのも日課です。自然と天板の上にものを出したままにしなくなって、いつも片付いている状態が続いています。天然大理石のおかげできれいなキッチンをキープできるのも良いですね。

Hさん:

キッチンをきれいにしているから他のところも片付けたくなり、毎朝夫婦で集中して10分間くらい掃除をするようになりました。こちらもこのキッチンを使い始めてからの変化です。

カトラリーと大理石 リビングから見たキッチン
横から見た収納

ゴミ箱の収納がある引き出しを開けると、その上段にもう一つ引き出しが隠されている

キャビネットの格子戸(引き戸)は、家全体の建具と同じものに統一されています。

Hさん:

当初、この格子戸もプロノさんでつくる予定でした。しかし空間全体の統一感をより大切にしようと、他の格子戸と同じ製作所にオーダーすることを提案してくれました。今、こうして完成した空間のなかにいると、キッチンを含めた家全体のデザインを調和させるための提案だったのだと実感できます。

Jさん:

建築家もプロノさんも、デザインへのこだわりが徹底していました。ビルトインした食洗機もそのまま見せるのではなく、木と大理石で造作した扉できれいに隠しています。生活感をなるべく出したくなかった私たちには理想的な造作です。パッと見てここに食洗機があるなんて分かりませんよね。

木と大理石で造作した扉できれいに隠した食洗機
コの字型に造作された収納

シンク下の配管を避けるようにコの字型に造作された収納。小物を収めやすく使いやすい。

収納についてはいかがでしょうか?

Jさん:

すべてのものが収まるようにしたい、モノが見えないようにしたいとオーダーしました。例えば炊飯器はキャビネットの中にしまっておき、炊飯時だけ台をスライドさせて引き出す仕組みです。キャビネットに蒸気が当たらないような工夫もあります。

Hさん:

ゴミ箱をアイランドキッチンの内部に配置しているのですが、その上部に小さな引き出しをサプライズ的につくってくれていました。

Jさん:

私たちも気づかないほどさりげなく目立たない引き出しで、プロノさんが点検に来てくれた時に「実はここにゴミ袋を入れられるのですよ」と教えてくれました。

Hさん:

マンションのキッチンですから、収納のボリュームがあるというわけではありません。ですから少しでもデッドスペースを作らないように工夫してくださったのかな。

Jさん:

シンクの下にも引き出しがあって、排水管を囲むようにコの字型に設計されています。上手に区切れば細々したものがきちんと収まり、計量カップやザルなどのキッチングッズをまとめられるので、使い勝手がいいですね。

Hさん:

アイランドキッチンのダイニングテーブル側にも収納をつけてもらいました。シンクや食洗機に接するところは奥行き15cmくらいで、子どものおもちゃやケーブルなどをしまうスペースです。そのほかの収納はA4サイズが入る大きさに設計していただき、子どものプリントやノートを置く場所にしています。そういう細かな要望を聞いてもらえるのはフルオーダーの良さですし、生活感を隠すことにもつながっています。

収納の奥にあるコンセント 収納を開ける様子

キッチンの最も好きなところを教えてください。

Jさん:

しっかり料理と向き合えるキッチンなのに、まるでキッチンではないような佇まいでしょうか。料理した後、きれいに片付けると、家具やインテリアのように部屋になじみます。窓の向こうの風景ともすごくマッチしていて、いつも満たされた気分になりますね。部屋を見渡しては毎日、やっぱり素敵だな、このキッチンにしてよかったと思っています。

Hさん:

眺望が気に入ってマンションを購入したので、キッチンがその景色と調和する色合い、デザインであることが何より嬉しいですね。

Jさん:

そして出来立ての料理をサーブしやすいアイランドキッチンであるところも気に入っています。

Hさん:

妻は料理上手で本当にいろいろな料理を作ってくれます。アクアパッツァやローストビーフ、ロシア料理が登場することもあります。このキッチンだとその料理がとても映えて見えますし、窓からの景色も相まってさらに美味しく感じられるのです。前に住んでいた家のキッチンとダイニングはちょっと暗かったので、環境で料理の味わいが随分変わるんだなと実感しています。

収納扉を開ける様子 料理する風景

このキッチンになり、暮らしに変化があったことは?

Jさん:

子どもが遊んでいるスペースとキッチンが近くなったことで、コミュニケーションを取りながら食事の準備をするのが日常になりました。好奇心がある子なので、レンコンのように変わった形の野菜を見ると「ママ、これなあに?」と聞いてくることがあります。料理を作っている途中に、ちょっと味見をさせる機会も増えたと思います。朝、パパがコーヒーを淹れていると「僕もバリスタやりたい」と手伝ってくれますよ。

Hさん:

子どもが夕食を食べる時間帯に帰宅できる日が多くはないので、朝のキッチンが子どもとのコミュニケーションの場になっています。一緒にコーヒーを淹れて、ご飯を食べさせてあげて。それが日課ですね。

Jさん:

そのほかでは、お友達が子どもたちを連れて遊びにきてくれるので、ホームパーティをよくするようになりました。

Hさん:

ダイニングテーブルと距離が近いアイランドキッチンだから、料理を作る人が孤立しないのがいいですよね。我が家の場合、料理するのは妻なのですが作りながらサーブしてくれて、一緒に食べるという一連の動線がとてもスムーズです。

Jさん:

ひとりキッチンにこもって料理をしていると、家族にもお友達に気を使わせますから。このキッチンになってから、遊びにきてねと声をかけやすくなりました。

料理する風景 コーヒーを入れる様子

プロノとのキッチン作りで印象に残っていることは?

Hさん:

実は、以前よりプロノさんのInstagramをフォローしていました。その後、リノベーションを行う時、建築家が偶然にもプロノさんを紹介してくれたんです。気になっていたキッチンのメーカーにつくっていただけることになり、偶然の出会いがうれしかったですね。

Jさん:

プロノのみなさんはとにかく「キッチン命」という印象です。もちろんお仕事として真剣に向き合ってくださるのですが、それ以上にキッチンをこよなく愛している人たちであることがとても伝わってきました。

Hさん:

それは本当にそう感じます。僕はコーヒーを入れる時ぐらいしかキッチンに立たないのですが、それでも打ち合わせの時間は驚きの連続でした。キッチンってこんなに奥深いものなのかと勉強になりました。

Jさん:

「生きている間にもう1回くらい、プロノさんとキッチンをつくりたいね」と夫とも話しています。また、担当者の方との雑談で印象に残っているのは、映画やドラマを観る時も常にキッチンが気になるというお話。ちなみにアニメで一番理想的なのは「おさるのジョージ」の別荘のキッチンだそう。「視線はさえぎられつつも動きやすい動線なのです」などとマニアックな話も楽しかったですね。

くつろぐ様子 リビングから望む風景