

心地よく回遊性の高い家をコンセプトに設計された八角形の戸建て。
木がふんだんに使われ、自然をすぐそこに感じる空間に備えたキッチンについて、
夫であるRさん、妻のKさん、お母様のYさんに伺いました。



引き出しのキャビネットにぴったりと収まる食器。
キッチン作りで重点的にオーダーしたことは?
我が家は家族が多いのですが、私も母も大皿でどんと料理を出さない人です。いくつかお皿を並べて盛り付けるのが好きで、ついお皿の数が多くなってしまいました。そのためプロノさんとのお打ち合わせでは、食器類がキャビネットにすっきり収まるキッチンにしてほしいとお願いしました。
以前暮らしていた家から持っていく食器をおおよそ決めて、プロノさんに相談しましたね。使っていた食器や調理器具の寸法を測って、「ここにある鍋は、設計図のこの部分に収納します」「ここにある食器は、設計図のこの部分に収納します」と、かなりシビアに計画していただきましたね。
打ち合わせの時間もかかりまして、プロノさんが夜までつきあってくれたこともあります。そのおかげで今、食器はすべて引き出しにぴったりと収納されていて、出し入れがとてもラクですね。以前の家は食器棚でしたから、奥の方からお皿を取り出すことも度々で大変でした。
あふれた食器は箱に入れて別の場所に置くなどしていたため、それを取り出すのもめんどうで。引っ越しで食器の箱を断捨離できたのもよかったです。また、地震などが起こっても食器棚が倒れる心配がないのも、引き出しのキャビネットの良さだと感じています。



自由に使える余白があるのも、使いやすさのポイントになっている。
シンクの下にはキャビネットが設置されていません。
シンク下はあえて、何もない自由な空間にしたいとお願いしました。家族も来客も多いのでゴミ箱は大きめのものを置きたいですし、段ボールをリサイクルに出す前にちょっと保管しておく場所もほしい。また親戚から野菜やお米をたくさんもらうので、それを一時的に置くスペースも確保したいと思っていました。
以前、いただいた野菜は屋外に置いていたのでとにかく不便で。ゴミ箱も目に付く場所に置かざるをえない状態でした。今はシンク下のスペースを活用することで、リビング側からゴチャゴチャしたものが見えず、空間全体がすっきりしたと思います。
あとはシンクの手元隠しも気に入っています。ダイニングテーブルから引いたお皿をとりあえずシンクに置けば上手に隠してくれて、来客時に重宝しています。ちょっと時間ができた隙に食洗機に入れてしまえば、後は洗ってくれますので安心です。
家族も来客も多いから、食洗機はこだわってミーレのなかでも大容量のものを入れました。


キッチンの使い心地はいかがですか?
実は、シンクとコンロが横並びでないキッチンは初めてだったのです。最初はどんな使い心地だろう?と不安もあったのですが、違和感なくすぐに慣れましたね。壁付け部分にコンロ、アイランド部分にシンクがあり、その間のスペースを大きめに確保してくれているのでとても動きやすいです。
私と娘のふたりでキッチンに立つ機会も多いですし、孫たちも大きくなって、もっと料理がしたいと言い始めています。Rさんも料理上手で、先日はRさんと孫たちが一緒にアクアパッツァをつくってくれました。これからも家族みんなで立っても余裕があるキッチンを楽しんでいきたいです。


キッチンでお気に入りのポイントはどちらでしょうか?
シンクの横の作業台が広いところです。ここにお皿を人数分並べて、料理を盛り付けられるので、配膳がとてもスムーズになりました。家族にひと声をかけるとみんなお皿を取りにきてくれますよ。
最初はこの配膳台におかずを並べて、炊飯器も置いて、みんながトレイを持って、社員食堂みたいに配膳するのもいいわねなんて話していました。まだそれは実現していませんが、いつかやってみたいですね。
広い作業台は味噌づくりや梅仕事をする方にもおすすめしたいです。我が家では今の家に引っ越してきてから、庭で養蜂をはじめました。採蜜する時にけっこうなスペースが必要となるので、作業台があることで助けられています。
野菜をいただいた時、茹でて冷凍したり、保存食にしたりする作業もしやすくなりました。野菜を食べ切れずに傷ませてしまうことがなくなりましたね。



グレーのメラミン天板。ステンレスや木材とも違和感なくなじむ。
プロノとのキッチンづくりで印象に残っていることは?
キッチンの材質の選び方が印象的でした。木がふんだんに使われた家で、キッチンも木がメインの材質なのですが、ナチュラルになりすぎず洗練された雰囲気なのが気に入っています。
いろいろな大きさの引き出しがすべて同じ大きさに見えるように、キャビネット表面に溝をつくるなど、本当に細かい部分まで工夫してくれました。そして八角形というイレギュラーな形の家だから施工が難しかったと思いますよ。図面はきれいに引けても、現場にくると木材が微妙に曲がっていたり、収まりが悪くなったりすることもあるそうです。さらにキッチンのなかに八角形の角部分が存在するので、角を挟んでキャビネットを取り付けるには技術が必要だったのではないでしょうか。
ほかにはキッチンの腰の部分に外壁で使用しているコンクリートを貼って、外と内でつながりをもたせることもプロノさんが提案してくれました。
実は、腰の部分にはガラスの飾り棚をつけたかったけれど「まだお子さんが小さいから危険ですよ」とプロノさんが止めてくれましたね。随分悩んだのですが「お子さんがガラスに向かっておもちゃを投げることはよくあります」というアドバイスで諦めがつきました(笑)
経験値の高いプロから見たリスクをしっかり伝えてくれるので助かりました。格好いいなと思ってお願いしたステンレスの天板も、炊飯器やコーヒーメーカーを置くスペースは「お手入れがしやすいメラミン天板の方がいいかもしれません」とすすめてくださいました。ステンレスとメラミンでは素材が全然違うのにすごくよくなじんでいて、満足しています。
スペースが広いから面白いキッチン家電を置けるのが楽しくて。例えばこの低温調理器を使って、Rさんがローストビーフを作ってくれたこともありましたね。


これからキッチンでやってみたいことは?
特別なことではないのですが、お家が新しくなり、キッチンが広くなり、お友達ファミリーと集まれることが楽しいので、これからも続けていきたいです。3、4家族が集まれる空間と大人数にも対応できるキッチンがあるおかげです。
私はそうですね、お義母さん、妻、子どもたちの3世代がキッチンに集っている様子をリビングから眺めたいですね。もう子どもたちも自分たちでケーキを焼いたりするので、そのような光景を時々目にしますがいいものです。
Rさん、私もリビングのソファに座って、ゆっくり過ごしてもいいんですよ(笑)。とにかく家族全員、このキッチンで作ったごはんをしっかり食べて、元気に過ごしてもらえたら嬉しいですね。