空間と調和し、モノを見せずにすっきりさせるキッチン

2023年施工 E邸

シャープなステンレスの天板に、冷蔵庫やワインセラーがビルトインされたキャビネット。
部屋全体になじむシンプルなデザインのキッチンについて、
夫・Mさんと妻・Hさんのお話をお聞きしました。

プロノとキッチンづくりをしたきっかけは?

Mさん:

以前は、祖父が建てた築80年の家に暮らしていました。老朽化もあっていよいよ建て替えようという話が出た時に相談した建築家が、オーダーキッチンならばプロノさんでと提案してくれました。建築家は「プロノ一択」というほど信頼されていて、私たちもショールームを見学したところ展示されているキッチンに魅了されてしまいました。

Hさん:

前の家のキッチンは、ひと昔前の高さだったため、シンクも調理台も私には少々低かったようです。キッチン全体も昔のつくりですので、あっちの冷蔵庫から食材を取って、こっちの食器棚からお皿を取ってという状態。動きやすくはあったのですが、腰にダメージがくることもありました。

Mさん:

ですから今回のキッチンは妻が使いやすいサイズでとオーダーしました。そしてお皿もお鍋もすべてキッチン空間に集約し、妻があちこち動かずに済むようにしたいと考えていました。

Hさん:

実際キッチンに立つと、すべて手が届く場所にあるので、料理がとてもラクになりましたよ。

Mさん:

キッチンの仕様については、プロノさんにオーダーするというより、ディスカッションしながら決めていった印象です。プロノさんにとってキッチンは仕事だけれど、楽しくて仕方のない、きっと趣味のような存在なのでは?と私は想定しています。打ち合わせでもとにかく楽しそうで、いろんなアイデアが飛び出してくるのです。

「ご自身にぴったりのサイズのキッチン」のほかにも、「これだけはかなえたい」とオーダーされたことはありますか?

Hさん:

キッチンに置いたものをすべて見えないようにできたらとお伝えしました。私は片付けるのが苦手ですし、夫はとにかくすっきりとシンプルなデザインが好き。冷蔵庫もキャビネットにビルトインで収めていただきました。

Mさん:

リビングにも壁面収納があり、生活に必要なものすべてを収納しています。視界の中に余計なものがない方が心地よく、キッチンも同じ考え方です。リビングの壁と一体感のある材質のキャビネットで空間の調和も取れています。

Hさん:

そんなキッチンの雰囲気を大切にしたくて、私もキッチンに余計なものを置かないように心がけています。

Mさん:

ほかには、ワインセラー、食洗機、ガスとIHどちらもを使えるコンロなど機能面についてお願いしました。

固定されている天板の様子

断面は5mmだが、奥に向かって徐々に厚みが増してる。

ステンレス天板は奥行きが広くて、使いやすい印象です。

Hさん:

奥行きは1m10cmです。保存食を作る時などスペースがほしいときに重宝しています。今度、ここで初めておせち料理をつくりますが、お重を広げたりしやすそうです。

Mさん:

ダイニング側の天板下はスペースをとって、椅子を置けるようにしています。このステンレスに似合う椅子が見つかったら、カウンターとしても使う予定です。

Hさん:

夫とふたりでさっと朝ご飯を食べる時などに便利そうですよね。

Mさん:

そしてこのカウンターのシャープな印象も特に気に入っています。ステンレス天板の断面の視界に入る部分は、わずか厚さ5mmです。もちろん強度を備えるために厚みを持たせた部分もありますが、その厚みを感じさせない設計をしてくださいました。見えない位置にコンセントもついていて、スマートフォンの充電にも便利です。またステンレスにはバイブレーション加工が施してあるため、光沢に落ち着きがあるのも良いですよね。

Hさん:

お料理を盛り付けたお皿を、夫が取りに来てくれるようになりました。新しいキッチンになってからの嬉しい変化ですね。

ワインセラーの木の天板が、シャープさの中にぬくもりのある印象を与えている。

先程のお話にも出ましたが、ライトが灯るワインセラーとガラス扉の棚が印象的です。

Mさん:

遠くからキッチンを眺めていると、ワインセラーとガラス扉の棚がほんのり光を放って、空間にアクセントを与えています。ソファでくつろいでいるときにキッチンの方をふと見ては、いい景色だなと日々感じています。

Hさん:

夕食の献立に合わせてワイン、日本酒、焼酎といろいろなお酒を嗜むので、ガラス扉の棚にはお酒に合わせてたくさんの種類のグラスを収納しています。ワイングラスだけでも、ブルゴーニュ、ボルドー、白ワイン用、シャンパングラスなど、複数を揃えました。すぐ手が届く場所に収納しているので、毎日違うグラスを使うのも億劫ではありません。

Mさん:

ワインはグラス次第で味が変わります。高価なワインでなくても、良いグラスを使えばより美味しく感じるものです。種類ごとのグラスを揃えるようになってから、かつて海外で暮らしていた頃の記憶が蘇りました。バターをたっぷり塗ったパンとともにワインを楽しんだ日々の感動が、このキッチンにはあるのです。

Hさん:

ちなみにグラスホルダーは既製品ではなく、プロノさんのオリジナルです。このキッチンに合うデザインがないからと、天板に合わせてステンレス素材でつくってくださいました。しかもサプライズなんですよ。

Mさん:

ガラス扉の棚板の大理石も、プロノさんが妻のためにサプライズで入れてくださったものです。

Hさん:

実は、大理石のキッチンもいいなと思っていたのですが、日々細やかなお手入れが必要と聞いて諦めてしまったんです。(他の記事でそのことに少し触れています)その代わりに家電置き場へ大理石を設置することにしました。そしてキッチンが完成したところ、ガラス扉の棚板にも大理石が使われていて、もうびっくり。予算の中から費用を捻出してくださったそうです。

そのほかにお気に入りのポイントはありますか?

Mさん:

ステンレス天板に真鍮製のペンダントライトを合わせたところです。リビングの真鍮製のスイッチと同じ素材を使ってスタイリングしています。

Hさん:

細々したものを収納する引き出しは、スペースを区切れるようになっています。マグネット付きの仕切りなので、キッチングッズに合わせてアレンジできる点が使い勝手が良いですね。また、お買い物から帰ってきた時、玄関からキッチン裏手のパントリーに直接行ける動線がとてもスムーズで便利です。

Mさん:

プロノさんがおすすめしてくれた浄水器付きの水栓も密かに自慢なんです。スマートなデザインですが浄水器が内蔵されていて、水栓レバーの操作だけで浄水・原水を切り替えられます。以前使っていた浄水器のように目立つパーツや文字表示がないので、すっきりと整ったキッチンの雰囲気を保てています。

Hさん:

このキッチンの好きなところはいろいろありますが、そこに優劣はありません。「キッチン空間全体が好き」と表現するとよいのでしょうか。朝起きたらまずキッチンに行って、お湯を沸かしながら、朝食の準備をする。そんな日常が大好きです。

このキッチンを使い始めて、暮らしが変わったことを教えてください。

Mさん:

妻は以前より健康に気を配った美味しい料理をつくってくれていました。ただ、今のキッチンになってからその料理がより美しく見え、味も美味しく感じるのです。きっとLouis Poulsenのペンダントライトが照らす光、天井高のある空間、飲み物を美味しくするグラス、そして背景に見えるすっきりとしたキッチンと、様々な要素が重なり、食事の時間がより豊かになったのではないでしょうか。

Hさん:

心地良い空間があれば、自然と家族で食事をしたくなります。夫が仕事で遅くなる時も「帰ってくるまで待って、それからみんなで一緒に食べよう」となることが増えました。また以前のキッチンは古くて、どうしてもゴチャゴチャ感がありましたので、それが解消されたことで家族のストレスまで減ったように思います。

Mさん:

同居している高齢の母もとても元気で、風邪を引くこともなく、おいしくご飯を食べてくれています。

Hさん:

そしてこのキッチンになって、以前より創作料理を作るようになりましたね。キッチンの環境がよく、この空間が好きだから、料理のアイデアが浮かぶのでしょうか。

Mさん:

料理をしている妻の表情を眺めていると、「家事」ではなく、「楽しみ」として取り組んでいるように見えます。それもこのキッチンが変えてくれたことのひとつです。